Column

コラム

Aug 01, 2025

「夏の記憶はそのままのほうがいい」

もう、どこの海岸だったのかは覚えてなくて…

でも、「伊豆」だったのは間違いないんです。

今から両親に聞けば「ああ、あそこはね」って多分教えてくれると思うんですけど。

私の中で、知りたくない気持ちがあって。

“ひと夏の記憶はあの頃のまま”にしておこうと思っています。

小さい頃の私からしたら、あの「伊豆」の記憶はただただすごかったんです。

真っ白なペンションが、浜辺にデーーンってそびえていて。

それこそ絵本の世界から白亜の宮殿が飛び出したみたいな。

立地もキレイな波辺に堂々とその一棟だげがそびえ建つ感じ。

小さい頃の私、シュノーケリングが大好きな子で元気が過ぎたんですね。

当時の私を、両親は持て余したんだと思います。

夏休み、家族で三泊四日の伊豆旅行に連れていってくれました。

天気はオール快晴、ラッキーなことに海もずっと穏やかで。

どんどん遠くてまで泳げたし。

深く潜るのも、プールで練習するのとは比にならないくらい上達して。

子供の頃の運動神経ってすごいんですよね。

誰かから教えてもらったわけじゃなくて、それでもう一人でグングン深い所まで潜っていったら…

あれ、多分イワシだと思うんです。

イワシの大群に遭遇して、四方八方をぐるぐる〜〜〜って囲まれました。

それがもうすごく幻想的。

自分で言うのもなんなんですが、映画のワンシーンみたいだったんです。

白亜のお城みたいなペンションに、人魚みたいになれた瞬間。

絶対忘れることなんてできません。

だから、またあの感動を味わってみたいな…って思うんですよ。

思うんですけど、近頃こういうの“思い出補正”って言うじゃないですか?

あの時はお城に見えた波辺のペンションも実は大したことなくて。

イワシの群れだってチョロチョロって数匹レベルかもしれない。

でも、私の中では白亜のお城と、人魚みたいに魚たちから祝福された瞬間は、

間違いなくあの「伊豆」のどこかにあったんです。

私は当時の記憶を大切にしたいから、あの「伊豆」の浜辺や海のこと。

わからないままでいいかな…って思っています。

“あの頃のまま”にしておきたい、ひと夏の記憶のお話でした。

笠‐Ryu‐