Column

コラム

Oct 16, 2023

「続・コラムをやってみようと思う!」

「コラムをやってみようと思う!」

ほうほう、それは僕もみてみたいと他人事のように発言し、

まさかの一本目にお呼ばれしてから早しばし。

諸般のあれこれと、紆余曲折もありつつ…

久方ぶりに再開の運びとなりましたコチラのコーナー。

お久しぶりですの一本目は、はたまたわたくしスピリチュアルカウンセラーの笠。

何事もご縁ですねえ。

ありがたいことですよ本当に。

そうそう。

“ありがたい”と言えば。

昔から好きな怪談師の方がいまして。

もうずいぶんお年を召された方なので、今や老舗の怪談師さんという事になるんでしょうか。

もちろん話される講談は怪談話ですから怖い話をするのだけれども、

これが不思議なもので、その人がいると何だかあったかい。

何でしょう、強烈な光を放つ蛍光灯というのではなく、優しく部屋を照らす灯篭のような感じです。

怪談師なのにそれでいいのかという話なんですが、

怖い話でも何だかその人の話だと聞いてみたくなってしまう、そんな不思議な魅力がある方なんですね。

で、何でかなあと思ったわけです。

このほのかな灯りのような温かさってどこから来るんだろうかなあ、と。

物腰?

笑顔?

たしかにそれも大いにあります。

でもそれ以上に、目を引くのは“感謝の言葉”だなあと僕なんかは思うわけで。

とにかくずーっと

“ありがとう、ありがとう”

って仰るんです。

舞台に出て怪談話を始めるまで、多分数十分くらいは感謝の言葉をずーっと口にされてる。

舞台の端から端までゆーっくりと歩きながら、大きく手を振って

“ありがとう、ありがとう、いやあ嬉しいなあ…ありがとう、ありがとう”

なんて具合です。

で、いざ舞台に用意された定位置にたどり着くと…ぼそっと一言観客に向かって

“ただいま”

って仰る。

そしてちょこんと椅子に腰かけ、怪談話が始まるかと思いきや…

これが始まらない(笑)

でもね。

気持ちのいい話をされるんですよそこから。

何が嬉しかったか。

何がありがとうだったのか。

これをちゃんとお話になる。

皆様のお蔭様ですよって話をされるんです。

こんな風に元気をもらえる機会なんて、こんな有難いことはないって、そう仰るんですね。

時に“ありがとう”とは“有難う”と書きます。

“ありがたい”は“有難い”。

普通な事じゃないよ、というわけです。

それは転じて感謝の言葉となった。

面白いですよね。

何が普通じゃなくて、何が滅多にないことなのか。

きっとそれは人それぞれなのですが、そういう普通じゃなさ、のようなものを見つけるプロになれたら世界はもうちょっと優しくなれるような気もします。

うん。大事にしたいなあ。

こう考えてみると、いいお年にはなったけども、今も怪談講演を開いて下さってありがとうございます、ですよね。

もちろんお金を払っている側だけれども、いいじゃないですか。

有難い事ですよ、きっとこれも。

そういえば猿楽師の神様とも言える世阿弥は、

「秘すれば華なり」

と言葉を残したけれど、感謝の言葉はむしろ秘密にしないほうが華が咲く気がします。

そういうわけで、よければ当コラム。

今後ともお付き合いいただけたら幸いです。

皆様のお目通しに心からの“有難う”を。

笠‐Ryu‐