Column

コラム

Dec 01, 2023

「“初恋”で思ったこと。」

どこか伏し目がちで、淡々としている彼。

あの頃、同じクラスでとなりの席に座る彼の通知表を覗きみたら。

ほぼオールAってくらいの成績。

なのに、彼の口から出てくるのはいつも「僕なんて…」でした。

私、けっこうないい歳なんですけど。

今の時期になると思い出す「初恋」のこと。

この「初恋」で感じたちょっとした変化を書いてみようと思います。

根が単純であっけらかんとしている私とは正反対。

繊細で物憂げ、そして二言目には「僕はいいよ…」「僕はやめておくよ…」

あんまりこういう男子に会ってこなかったからなのかな。

いっつも彼の事が気になっていました。

というか「なんで?」って気持ちが強かったんです。

もっと自慢すればいいのに。

もっと「僕ってすごいんだよ」って言えばいいのに。

何でも思ったことはずけずけ口にしてしまう私からすると、彼のこの性格はとにかく不思議だったんですね。

自己表現が苦手、控えめな男の人がいるっていう事はこの歳になれば当然のようにわかっているんですけど。

当時の私からしたら、彼の事がとにかく不思議で新鮮だったんです。

そして思ったことは何でも口にしてしまう私。

確か今頃の時期だったと思います。

私、ついに言ってしまったんですね。

「あなたってとってもすごいのに、なんでいつもそんななの?」って。

確かこんな感じの言葉で、投げやりに聞いたと思います。

すごい失礼だし、自分勝手だし理不尽な言い方ですよね。

でもあの頃の私は、ふに落ちないっていうんですかね。

納得できないっていうか。

当時も今も考えが単純な私だから、彼には「あなたって実はすごいんだよ」って気づいて欲しかった。

それでいつもは伏し目がちの彼の大きな目が、グッて私に向けれられて。

何かを発するわけじゃなくて、ただ黙って私をみつめる彼。

あの時間が止まったような一瞬が、私にはとっても強く残っています。

そして次の日から少しだけ。

はにかんだように笑う彼の表情が増えたような気がして。

「僕なんて…」を聞く機会も気持ち減っていたような気がして。

それから本当に少しずつでしたけど、自分の事。

自分の気持ちを話すようになってくれた彼。

私の彼への「気になる」は、いつの間にか「初恋」になっていました。

この「初恋」で私、思ったんです。

誰かのすごい部分は、素直に「すごいね!」って言ってあげよう。

だってそれが何かの変わるきっかけになるかもしれないから。

当時はちょっと気恥ずかしくて、責めるような伝え方になってしまったけど。

もちろん今は、あんなふうに失礼な言い方はしてませんよ(笑)

そばにいる仲間たちには「自分なんて…」じゃなくって。

「自分だからこそ」って思ってもらえるように。

お節介焼きだって思われないように(笑)

これからも近くの誰かの「すごい」に気づいて、それを素直に伝えていけたらなって思ってます。