Column
コラム
「やさしいことば」
このコラムを読んでくださっている方に、最初に一つだけ質問をさせてください。
皆さんにとって『やさしいことば』とはどんな言葉でしょうか。
この問いかけの答えを心の中で考えながら、続きを読んでもらえたら幸いです。
実は今回のテーマは初めからコレと決めていた訳ではなく、このコラムを執筆するにあたって相談させて頂いた先輩の一言がきっかけで決めたものなんです。
僕:
「先輩、僕には語彙力も豊富な知識もありませんし、僕にコラムなんて書けるのでしょうか…!」
先輩:
「良い文章を書く為には、語彙力も知識も必要ないさ。綺麗な文章と良い文章は違うってことを意識して、自由に書いてみたらいいじゃないか」
綺麗な文章と、良い文章。
この言葉を聞いて僕、「ハッ」としたんですよね。
小説家でもないのに、綺麗な文章を書かなければいけないと思い込んでいた自分。
でも本当に大事なのは、洒落た言い回しではなくて、読んでいる人の心に届く文章を書くことだって、先輩の言葉で気付いたんです。
文章を書くことって、何だか敷居が高くて難しいことに感じる人も多いかもしれません。
学生時代の感想文だったり、小論文に苦い思い出を持つ人もきっと多いですもんね。
でも、自分の気持ちを文字にすることって、本当は誰もが日常的に行っていることでもあると思います。
メール、ライン、SNS、手紙、etc.
読者の皆さんもきっと、自分の気持ちをどうやって言葉にしようか悩んだことはあると思います。
僕が先輩の言葉を聞いて思ったのは、身近な人へ送る言葉も、見栄えや言い回しじゃなくて相手に真っすぐ届く言葉を選ぶことが大事なんじゃないかってこと。
例えば、大事なパートナーに手料理を振る舞ってあげたとしますよね。
A:
「素材の味を活かした味付けに、栄養価を意識した献立、実に素晴らしかった」
B:
「いつもありがとう、今日も美味しかったよ、ご馳走様」
二種類の感想があったとして、どっちが感謝の気持ちが伝わるでしょうか。
Aはまるで評論家のようなコメントですよね。
でも、料理を作ってくれた相手の心に届く言葉って、案外Bの方なんじゃないかって思いませんか?
相手に気持ちを伝える為に必要な言葉は、きっと綺麗で難しい言葉じゃなくて、もっと簡単でありふれた言葉なんですよね。
なのに、そういう言葉ほど何だか照れ臭くなって相手に伝えられないことが自分にはあるなあと、今回のコラムを書いていて思わされました。
今、この記事に目を通して下さっている皆さんは、ちゃんと大事な相手に伝えられていますか?
「おはよう」
「ありがとう」
「ごめんね」
「大好きだよ」
思っていることは、思っているだけでは相手に伝わらないこともあります。
関わることが当たり前になっているからこそ、面と向かってこういう言葉を伝えなくなってしまっている相手、皆さんにはいませんか?
もし、少しでも心当たりがあるのなら。
日頃、大切な相手に対して思っていることをどうか口にしてあげてください。
難しい言葉じゃなくて、いいんです。
考え抜いた言葉じゃなくて、いいんです。
ただ、皆さんの中にある気持ちをそのまま言葉にしてみる。
きっとそういう言葉こそ、皆さんの大事な人にとっての、
『やさしいことば』
なのではないでしょうか。